映像がない映画。ポストロックオーケストラ【Godspeed You! Black Emperor】

個人的に大好きなポストロックバンドなんだけど、あまりポストロックに馴染みのない方にこのバンドを聴かせてみるとめちゃめちゃ受けが悪い。
mogwaiなんかはしっかりプロモーションもしているし普通にロックリスナーにも馴染みがあるだろうけど、
このバンドはインタビュー、メンバーの写真の公開は一切ないからポストロックファン以外はなかなか知らないだろう。。
商業主義的な音楽シーンにアンチを唱えているバンドは沢山いるけれど、ここまで徹底しているのはこのバンドだけだろう。

その音楽も決してとっつきやすくない。
言ってみれば『暗い・重い・長い』だ。
いくらポストロック好きであろうと避けている方も多い。

名前はGodspeed You! Black Emperor(ゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラー)

カナダ・モントリオール出身の9人という大世帯バンドだ。
構成は ギター3人、ドラム2人、ベース、チェロ、ヴァイオリン、テープ編集という変則構成だ。
名前がなんか暴走族みたいと思った人、正解だ。
実は日本の暴走族映画がバンド名の由来らしい。

NME誌においては「20世紀最後の偉大なバンド」と評されていたりもする。
この偉大なバンド、あなたは聴けるだろうか?

Godspeed You! Black Emperor – Rockets Fall on Rocket Falls

展開がこえーよ。
音がこえーよ。

初めて聴いた時、怖すぎてイヤホン外したよ。
まるでホラー映画の音だ。

音だけでここまでの雰囲気を出せるのは本当にすげえ。
これはポストロックというかサントラ。
サントラを生身の人間たちが演奏しているようなもの。

9人というバンド編成のそれぞれの音が徐々に重なって、大きな音の塊になった時、息がつまるような感覚に襲われる。
ここまでの凄まじい音楽を生身で体現しているバンドはなかなか見つからない。

Godspeed You! Black Emperor – Sleep

ポストロックといえど、わかりやすく言えばサビみたいなメインのフレーズなんかがある。
対してこのゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラーは一回通り過ぎた音は2度と戻ってこないのである。
だって物語だからな。
繰り返しの人生なんて無意味だ。
そこらへんの構成は聴く人を選ぶだろう。

下手にポストロックバンドというタレコミに乗せられて聴いてみるとする。
でも、その音はポストロックを聴こうとしたつもりなのに、映画を見せられているような気にさせられる。
映像がない映画だ。
だから一曲一曲が長い、10分、20分は当たり前だが、その音に無駄な音は一切ない。
その音楽は聴く人間によって、様々な解釈ができると思う。
それぞれの頭の中に映像が浮かぶことだろう。

人にこれオススメだよと簡単に言える音楽ではない。
聴く方も簡単に聴けような音楽ではない。
これを聴く時は、映画を見る時のように時間を割かなければいけない。
ながら聴きもできないだろう。
アルバム通して集中をして耳を傾けなければならない。
そしたら、このバンドの凄まじさが分かるかもしれない。

命は投げ捨てるもの。 馴れ合いは好きじゃないから誤解されてもしょうがない。

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