なぁ日本人の耳を鍛えたのはhideだよな。【サイボーグロック】

日本人の耳を鍛えたのはhide

バンドではギタリストではあるけど、正直に言おう。ギターは決して上手くない。
というか尊敬の念で言うけど、バンドでは煽り担当だと思う。
そのキャラクターの強さとセンスで、バンドにスパイスを与える人だと思ってる。
よっぽど今の日本の若手バンドでギター弾いてる人の方がうまいの。

この人のズバ抜けてすごいところは、音楽の表現のセンス。

ファッションでもそれは一発でわかると思うが、今回は音楽の話をしたい。

今から紹介する3曲はどれもシングル曲ではない。
おそらくhideの音楽的センスはこちらの曲で堪能できる。
まずはとにかく聴いてもらいたい。

これらがhideがソロでやっていた、hideのエッセンスが詰まっている曲だ。
バンドの音以外にも、印象的なデジタルな音が聞こえてくると思う。

この手の音楽って今では日本でも浸透した『インダストリアルロック』って言われていて、
90年代の日本にはそんな音楽なんて全然なかった時代だ。

hideはその『インダストリアルロック』を自分の音楽で表現するとき『サイボーグロック』と表していたのだけど。
分かりやすく言うと、デジタルとアナログを組み合わせて作った音楽のこと。
人間臭いところを残しつつも、機械の正確であり、時にぶっ飛んだ音を融合したその音楽だ。

hideの何がすごいかって、今ではその手の音楽って日本では探せばいくらでも出てくるけど、
当時の日本にはそんな音楽なかったわけで、
それを最初に海外から持ってきて、自分の音楽に落とし込んで表現しているんだ。

おそらく今では日本でもインダストリアルロックの代名詞的な存在だけど、
ナインインチネイルズを日本で広めたのって、多分hideだ。
あと、マリリンマンソンも。
hideがメディアで名前を出していたから、日本でもそこそこ売れだしたのは数字を見れば分かる。
マリリンマンソンなんて普通に出てきて日本で売れるわけねぇもんな。笑
そういう意味で、hideは日本人の音楽センスを鍛えた最初の人っていう見方もできるであろう。

この二組って当時、アメリカでもブレイク前だったから、むしろインダストリアルロックを最初に日本でリスナーに浸透させたのってhideとなる。
hideは洋楽のちょっとマニアックだけどカッコイイっていうような音楽要素を、噛み砕いて解りやすく表現するのが本当に上手い。

そんな当時の日本でマニアックな音楽のエッセンスが入っている曲がなんで受け入れられたかっていうと、
もちろん超人気バンドの人気メンバーということもあるし、音楽以外にも印象に残るものはあるんだけども、
何よりも楽曲がキャッチーなんだ。

やっぱり歌が入ってる以上、聴いてる人の耳にすっと入ってくるような、
要は口ずさむことが出来る曲ってのはいい曲という見方はある。

だからXのうるさい感じは嫌いだけど、hideの曲って普通に好きっていう人も多いことだろう。

おそらくリスナーもこれが俗に『インダストリアルロック』なんていうことなんて分からず、
hideがやっているカッコイイJ-POPとして入ってるから、多くの方が普通に好きというのだと思う。

この音楽センスというか、リスナーの耳を鍛える感覚というか…
現在の世界中がネットで繋がっている時に生きていたとしたら、
真っ先にネットを駆使し、世界に照準を合わせて、世界の音楽リスナーの耳を教育するくらいの最新の音楽発表して、
世界の音楽フェスなんかでトリを務めるくらいのアーティストになっていたんだろうとマジで思うんだよ。

サイボーグロック最高傑作は『ピンクスパイダー』

最後に、個人的に一番好きなhide曲で終わりたい。
シングル曲ではあるが、サイボーグロックの旨味が詰まった最高傑作だと思う。

先に挙げた3曲もhideの楽曲の中では好きな方だけど、この曲にはかなわない。
ミリオンセールスも記録しているんだけど、冷静に聞くとそんな売れる曲じゃないよな。
ヘヴィなリフで構成されるロックでしょ。
まさに音だけで聞くと洋楽ヘヴィロックなんだよ。
この時代に洋楽なんて全然流行っていないし、売れてたのは有名なポップアーティストのみの時代だ。

下世話な言い方をすれば死んで話題になったから売れたとかあるかもしれないけど、
この曲のロックなリフと、サビのキャッチー性の共存は、この時代の日本では考えられないんだよ。
だからこそ多くの人の印象に残る曲になったのだろう。

一般的な感覚で話してみると、サビまでなんか違うでしょ。
一般的な邦楽であるようなAメロBメロの分かりやすい流れではないのよ。
音もメロディも。

でもサビで一気に持ってかれるでしょ?
誰でも口ずさめるこのメロディ。
ヘヴィロックに見せかけて実はもの凄いキャッチー曲なんだ。

知らず知らず当時の日本の音楽に麻痺していた人々が、『なにこれなんか今までのと違うけどカッコイイ!』って思うったことであろう。
hideのサイボーグロック。
その音楽センスが爆発している曲だ。

命は投げ捨てるもの。 馴れ合いは好きじゃないから誤解されてもしょうがない。

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