『デビル』っていう音葉ってなんかスタイリッシュさを感じませんか?
デビルマンとかデビルメイクライとかあるじゃないですか。
直訳すると『悪魔』って意味だけど、この『デビル』という言葉をつけることで、
他にはないような存在感を生み出している気がするんです。
ロックンロール度が上がるじゃないですか。
そんなことを考えていたらある動物を思い出したんですよね。
オーストラリアのタスマニア島に生息する有袋類であるタスマニアデビルを。
実在する動物に『デビル』って名付けるなんて結構なもんじゃないですか。
タスマニアのデビルですよ。
その称号をどうやって手に入れたのか気になったので調べてみました。
基本スペック
体高
30cm程度
体長(尾を含まない)
50-60cm
尾の長さ
20-30cm
体重
雄10-12kg、雌6-8kg
デビルの由来。
一番気になるのは、やはりその名前の由来である。
その、デビルという名前の由来は変わった鳴き声にあって、
タスマニアデビルは、実に表現に困るような奇妙な鳴き声をあげるのが特徴。
強いて言うなら威嚇している時の猫に似ているが、どの道この声に愛らしさなどない。
これは夜になると、それはそれは不気味で怖い。
この遠吠えを聞いた人々から「あれは悪魔の声だ」と気味悪がられたことから、彼等はデビルの名を賜ったと言われている。
なるほど、夜道を歩いてる時にこの声を聞いてしまったら、確かに怖い。
鳴かなかったらそこそこ可愛い気もするけど、その鳴き声は気味の悪さが確かにある。
噛む力がやばい。
さあ、このデビル。
体の割に、大きな頭蓋骨をも噛み砕く顎の強さがあるのである。
骨・皮・毛・羽等、何でもバリバリと噛み砕いて食べてしまうのです。
顎の力については、体の大きさと咬む力の強さの比率で言えば現生の哺乳類では最強の称号を得ている。
確かにその点で言えば『デビル』度は高いのかもしれない。
血で血を洗う出産。
1度の出産で干しぶどうほどの大きさの赤ちゃんデビルを20~30匹出産する。
赤ちゃんはすぐさま、お母さんデビルのお腹の袋の中に移動するのだが、そこにあるのは4つの乳首のみ。
4つ乳首があることがまず驚きだが、30匹が一気に乳首めがけて飛びつくのである。
乳首にありつけなかった赤ちゃんデビルは、残念ながら淘汰されていく運命なのである。
なので、最終的に生き残るのは、わずか数匹となってしまう。
『デビル』として生きていくためには、生まれた瞬間抗争なのである。
そこを生き残った者だけが『デビル』を名乗って生きていけるのである。
野生の世界はかくも厳しいのだ。そして、切ない。
餌の奪い合いで抗争。
さすが『デビル』である。
気性が荒く、デビル同士が餌の奪い合いで激しい争いになることもある。
鳴き声が非常に特徴的で、「背筋の凍るような」「数km先まで響き渡る」と形容されるうなり声・叫び声を上げる。
『デビル』にふさわしい、恐ろしげな威嚇の鳴き声・ジャブの応酬・果ては本格的な喧嘩をする。
血で血を洗う抗争は、『デビル』が生きていく上ではつきものなのだ。
一方で、自分より大型の動物に対しては臆病で、格上の個体や人間等に対して牙をむき出してうなるのは攻撃性のゆえではなく、むしろパニックになっているか直接的な争いを避けるためのハッタリをかましてくる。
心の中では一刻も早く立ち去りたいのに、体が動かないのだ。
そのくらい臆病な一面もある。
『デビル』なのに。
大きく口を開けて叫びつつ今にも襲いかかってきそうな野生個体に遭遇したら、人間はそのまま距離をおいて黙って待つことである。
攻撃しなければ、デビルの方から逃げていく。
おい、『デビル』度下がったぞこれ。
絶滅の恐れがある。
『デビル』の間では、デビル顔面腫瘍性疾患という致死性の高いガンが流行っている。
繁殖や餌の争奪時における咬傷を通じて癌細胞自体が臓器移植のように他のデビルに直接伝染するとみられている。
1996年に初めて発生が報告されてから被害は急速に拡大しており、2009年時点で個体数は70%減少し生息域の60%に疾患の発生が見られるなど、
何らかの策を講じない限り今後50年間で野生のタスマニアデビルは絶滅する恐れがあるとのこと。
そのため、現在は絶滅させないように保護活動も行われている。
『デビル』かわいそう。
半端なく食べる。
標準的には1日に体重の15%ほどの食餌を要するが、体重の実に40%近い獲物を30分でたいらげてしまうことが可能である。
動物の死体を処理することで、公衆衛生やスムーズな食物連鎖の回転に寄与している。
その姿からついたアダ名が
「森のおそうじ屋さん」
いや、何でだよ、『デビル』要素ねえじゃねえか。
それ、『ブサイクを売りにしてる女芸人がよく見たら実は綺麗だった。』的な芸の潰し方と一緒だ。
この呼び名のせいで、次から森で遭遇した時『ギャーズ!!デビルだぞー!!』とかいっても『あ、森のお掃除屋さんだ!可愛いい!』とかなって
完全なる営業妨害じゃねーかこれ。
『デビル』とか名付けといて、それはないだろ。
いかがだっただろうか?
名前に『デビル』という言葉が含まれているタスマニアデビル。
名前によってなんか怖そうなイメージがあったけど、赤ちゃんとか普通に可愛い。
現在は保護活動もされているように、絶滅危惧種である。
生物学上しょうがないのかもしれないが、なんとか病気に対する対処法が見つかってほしいものだ。