コーヒーというものは、常にぼくたちのライフスタイルに寄りそっている飲み物だ。
ここで1つ、そんなコーヒーをフィーチャーさせたライフスタイルな映画でも。
COFFEE AND CIGARETTES
当たり前だけど、日常はふとした会話で構成されている。
この映画は、そんなどこにでもある会話が繰り返される短編集。
まず、そんな当たり前の景色を映画にしちゃっている感がズルい。
本当にどこでもあるような会話だ。
会話ってよく考えると不思議なもんで、全然人に話す必要性なんて全くないことでもコミュニケーションになる。
どこにでもあるありふれた会話ってすごく重要なことなんだろうな。
主にカフェを舞台に織りなされ、
各ストーリには二人または三人しか登場しない10分程度のドラマ。
会話から浮かび上がる人間関係・感情の交錯。
全11編から構成される。
監督はジム・ジャームッシュ。
僕が大好きな映画監督。
そこには、常に一つのテーブルをベースにコーヒーとタバコが同じ画に収まっている。
タバコも常に吸われるわけではなく登場人物が吸わない者であったり、禁煙中であったり。
観客は誰もがカフェの隣席にいて、その物語にそれとなく耳を傾ける客になる。
ほとんどの登場人物が自分で自分自身の役を演じ、テーブルの上においてあるコーヒーを飲みながら煙草を吸い、そして何でもないようでいて何でもあるような話をする。
その会話の内容は全部で11ある各ストーリーごとにゆる~く連結していて、ラスト11個目のストーリーで何となく深みがありそうで無さそうな結論に至って終わります。
この結論を、「面白かった。」とか「つまらなかった。」とか
「人生のものすごく深いところを洞察している」とか
「深いんだか浅いんだか良くわかんないけど何となく良かったかな」と考えるかは
それはきっとどちらでも良いのでしょう。
この映画はそういう映画じゃない?
今は、一般的にタバコが吸えないことは周知の通りなので、その意味ではカフェですぱすぱタバコをふかすこの映画の雰囲気は懐かしさを感じるのかもしれない。
ちなみにこの作品の登場人物の一人、トムウェイツは「こんな話のどこが面白いんだ!」と監督の前で台本を投げ捨てたと言う。
「こんな話のどこが面白いんだ!」と言っているトムウェイツを想像しただけで、
なんだかニヤッとなるのだから、
この映画が、ぼくのライフスタイルに与えた価値はあるんじゃないのかな。
コーヒーでも飲みながら日曜の午後にのんびりとみたい作品。
禁煙中の人はご注意あれ。