嗚呼、青春のドクターマーチン
今となっちゃブーツもいろいろなブランドを履き比べたりしてきたけど、
最初にブーツに憧れて足を通したブーツってドクターマーチン。
ロックに目覚め、そしてパンクス御用達のドクターマーチンに憧れる。
そんな流れだ。
当時は、他のどんなブーツよりもキラキラ輝いて見えた。
年上のにーちゃん達のライブを見に行くとみんなドクターマーチンだったんだよ。
その時から、『ああ、もうこれしかねえな』って思ったもんな。
ちなみに最初に買ったのは、中古の10ホール。
8ホールがどスタンダードだけど、なんせ人とかぶるのが嫌いだからの理由で10ホールを購入。
後で後悔するんだよやっぱ。
理由は脱ぎ辛いから。笑
ドクターマーチンのオフィシャルなかっこいい履き方って、靴紐を一番上まで通して、血が止まるんじゃねえかってくらいバッキバキに締めるのがマナーだろ?
まあ、わからんけど、当時から先輩たちにはそう教わってたんだよ。
だから仲間のうちとか遊びに行くと、脱ぐのにまあ時間がかかるし面倒くさい。
何度か土足で入ろうと試みるんだけど、当たり前にそれは無理。笑
大人になった今でも、マーチン履くときはマナーに従ってこれでも買ってバッキバキに紐を締めるんだけど、
その日の居酒屋選びは、座敷はNGだからね。
頑なに拒否、だって脱ぐの面倒くさいんだもん!
それだけでその日の居酒屋を決める。
これ、あるあるだと思うんだけどなぁ…
今は2代目の10ホール、3ホール、サイドゴアを履き分けてる。
自分は音楽から影響を受けたけど、イギリス映画なんかを見るとイカしたドクターマーチンの履き方が見れる。
『THIS IS ENGLAND』という映画がある。
ストーリーもちろんいいんだけど、ファッションもかっこいい映画だ。
ストーリー
1983年、マーガレット・サッチャー政権下のイギリス。
フォークランド紛争で父親を亡くした10歳のショーンはロンドン郊外で母親と二人で暮らしている。学校でファションをダサいとからかわれ、喧嘩をして校長から叱責される。
帰路、スキンヘッドのグループがたむろしているところを通りかかると、リーダー格のウディが話を聞いてくれる。
ショーンは彼らと親しくなり、母親にスリムのジーンズを買ってもらい、ウディの彼女・ロルに頭を剃ってもらい、シャツとサスペンダーをプレゼントされ、スキンヘッズの仲間となる。
リーダーだったコンボが刑務所から戻る。
コンボはイギリスの退廃の原因は移民のせいだと主張、パキスタン人を恐喝する。
ウディやロルはコンボから離れていくが、ショーンはコンボと共に右翼活動家としてイギリス国民戦線の中で生きる道を見つけて行く。
出演/監督
出演: トーマス・ターグース, スティーヴン・グラハム, ジョー・ハートリー, アンドリュー・シムプソン, ヴィッキー・マクルア
監督: シェーン・メドウズ
イギリス史上最高の青春映画
宣伝文句は、『イギリス史上最高の青春映画』
はっきり言ってかっこいい映画なんだけど、イギリスの社会・文化について興味のない人間には、ストーリーは楽しめないかもしれない。
社会性の強い映画であり、その背景の知識を持っていなければ作品の世界観に入り込むのは難しい気がする映画でもある。
スキンヘッズがテーマ
80年代の英国で流行した若者集団”スキンヘッズ”(スキンズ)をテーマにした英国映画。
スキンズは極右的で過激なネオナチ集団として知られているかもしれないけど、この映画はもう少し踏み込んだ内容になっている。
登場人物の一人ウディは不良グループのリーダー格。
通りすがりの歳の離れた主人公ショーンも仲間として迎え入れる。
服装こそスキンズ・ルックの不良だが差別や暴力とは無縁と言っていい、このショーンが本当にいい優しくて気のいい兄貴分的存在だ。
この時点でスキンズ=ネオナチというイメージとは大きく違っている。
きっと当時の英国スキンズの多くはこういったファッション系スキンヘッズだったのだろう。
日本のファッション的な不良達と変わらないよな。
対して、刑務所帰りのコンボという男が出てくる。
ウディと違い、差別的で粗野な人物。平気でナイフを振り回し移民を恫喝する。
こちらは古典的なスキンズのイメージ。
この映画では彼もただの悪としては描いていない。
とある事情から車内で一人涙を流すシーンがあるのだが、とても印象的。
カッとなり易いだけで実は繊細でナイーブな青年なんだと思う。
このショーンとコンボの二人が、時代に翻弄された末にどのような結末を辿るのかは、ぜひ映画を見て欲しい。
そして、その間で揺れ動きつつもアイデンティティを確立していく、まだ幼い主人公ショーンの気持ちになって見てみてほしい。
最後に。
ファッションとしてドクターマーチンや他のブランドのアイテムを身に付けることも少なくないと思うけど、
こういった映画や、音楽なんかの背景にある文化なども頭に入れて身に付けると、なんだかまた愛着って湧くものである。
この『THIS IS ENGLAND』は、内容を理解しようとするとちょっとややこしいかもしれないけどオススメ。
たとえ内容が理解できなくても映像だけ流して見ていてもかっこいい。